東麻衣子さん(アナログメーターの存続を望む会
いつも電磁波問題市民研究会でお世話になっております。
今回、私の子どもが小学校に入学するに際して取り組んだ学校無線LAN、シックスクール対策についてお話させていただきます。
子どもは私ほどではありませんが、様々な物に過敏な体質です。
自分の子どもだけでなく、他のお子さんには私のように化学物質過敏症、電磁波過敏症を発症して欲しくないという強い思いがあり、シックスクール対策に取り組みました。
入学の2年前(2016年)
学校の環境を大まかに把握するために教育委員会に質問メールを送りました。
質問事項は下記の通りです。
質問(2016年) | 答え |
①市独自のシックスクールマニュアルの有無 | ない。 |
②どのようにシックスクール対策を取っているか | ①「学校環境衛生基準」に基づき、室内空気中化学物質検査を実施。 ②学校配布資料(学校保健必携「学校園における環境衛生管理の徹底」)での指導。 ③対応を必要とする場合 化学物質過敏症の児童生徒や紫外線対策が必要な児童生徒等については、かかりつけ医の診断などを参考に学校と保護者が連携し、学校医の指導助言のもと、個別に対応。 |
③使用している床用ワックスの種類について | Pタイル部分においてはSAKURAワックスの「エクストール コート」体育館や1階の床が木製である教室においてはリンレイ「スクールジム 床用」を使用。いずれもシックスクール対応製品であり、有機リン化合物は含まれていない。 |
④農薬散布の時期と薬剤の種類について | 農薬散布については、毛虫が発生した際、その駆除のために実施することがある。平成27年度においては有機リン系のスミチオン乳剤を使用。散布は学校が休みで児童が学校にいない土曜日の午前に行っている。 |
⑤学校無線LANについて | タブレットはWiFi接続で、アクセスポイントは各教室で常時稼働。 それぞれの事情に応じて、ご家庭、学校教育委員会で協議。 |
入学の1年前(2017年)
上記で質問した事項について、更に詳しく知るために「堺・こどもの健康と環境を考える会」で公開質問状を送りました。
質問(2017年) | 答え |
①無線LANのアクセスポイントは各教室で常時稼働だが2.4GHzと5GHzのどちらになるか。 | 5GHz帯。 |
②無線LANから発せられる無線周波数電磁場の安全性について承知しているか。 無線周波数電磁場は国際がん研究機関(IARC)「ヒトに対する発がん性物質の可能性がある(グループ2B)」と分類されているが、児童が発がん性物質の可能性がある無線LAN(無線周波数電磁場)に常時曝されていることに関してどのように感じているか。 |
このことについて、確認をすすめている。 |
③総務省が定めた電磁波基準値は安全だと云われている一方、国際がん研究機関(IARC)「ヒトに対する発がん性物質の可能性がある(グループ2B)」と分類されている。 児童が発がん性物質の可能性があるWi-Fi(無線周波数電磁場)に常時曝されていることに関してどのように感じているか。 |
このことについて、確認をすすめている。 |
④総務省が定めた電磁波基準値は安全だとされていますが、その基準値では耐えられず、電磁波に鋭敏に反応し、頭痛、めまい、眼の痛みなどの症状が出ている児童・生徒が存在することへの認識はあるか? | かかりつけ医の診断などを参考に、学校と保護者と教育委員会が連携し、学校医の意見も踏まえ、個別に対応。 |
⑤ドイツやフランス等の諸外国では学校への無線LAN環境に対して厳しい制約や勧告がなされているが、市教育委員会は把握検討しているか。 | このことについて、確認をすすめている。 |
⑥私のように電磁波に対して鋭敏に反応する児童が入学した場合、下記のような対応は可能か 対応1:タブレット端末の授業を取りやめる 対応2:無線LAN接続ではなく有線LANへの変更する 対応3:無線LANを常時接続するのではなく、タブレット授業のときのみ、無線LANが接続できるようスイッチ機能を取り付ける |
かかりつけ医の診断などを参考に、学校と保護者と教育委員会が連携し、学校医の意見も踏まえ、個別に対応。 |
⑦保護者が電磁波に対して鋭敏に反応する体質の場合、無線LANが常時接続されていると校内で体調を崩す。入学式、授業参観、PTA、などの学校行事に参加することが困難である。そのような場合はどのような対応ができるか? スウェーデンやアメリカでは電磁波過敏症は障害として認められ、日本弁護士連合会も人権保障の観点から電磁波過敏症患者を保護するよう求めた「電磁波問題に関する意見書」を2012年に政府へ提出している。 |
学校と保護者と教育委員会が連携し個別に対応。 |
追加質問(2017年) | 答え |
アクセスポイントの設置場所、個数は? アクセスポイントには、電波強度の調節機能、オンオフ機能はついているか。 |
普通教室25教室に無線アクセスポイントを設置。 無線アクセスポイントにオンオフの機能はついていない。電波の強弱を調整する機能はついている。 |
就学相談(2017~2018年)
数回に渡り校長先生、教頭先生に学校生活でのお願いをしました。
学校生活でのお願い | 結果 |
①教室内のアクセスポイント タブレットPCなど、無線LANを使用する授業以外はアクセスポイントの電源をオフを希望。当初、電源マルチタップでオンオフの予定だったが、アクセスポイントに近づく度に被曝することを懸念。電磁波研会報111号15ページの「手元スイッチ」を知り学校に寄附。 |
タブレットPCをテレビ画面に映す時は有線接続。 無線LAN使用時以外は担任の先生が「手元スイッチ」で電源オフ。 |
②電磁波シールド帽子の着用 無線LANを使用する授業では電磁波シールド帽子を着用させて欲しい。 |
OK。 |
③座席について アクセスポイントから一番離れた座席を希望。 |
OK。 |
④香料自粛のポスターの掲示及び、「ほけんだより」などで香料自粛やナチュラルクリーニングについての文章を寄稿したい。 | 校長先生の提案により、入学式の後に保護者の前で香料自粛の呼びかけの書面を配りお話させていただいた。 学年便り、保険便りで香料自粛、化学物質過敏症について記載。 保護者の方々のご理解とご協力のおかげで、柔軟剤のニオイ移りがほとんどなく、学校生活を過ごしている。 |
⑤トイレの芳香剤の撤去もしくは活性炭の設置 | トイレの芳香剤はPTA管轄だが、学校側が事情を話してくれ、子どもが使用する階のトイレに活性炭を設置してもらえた。 |
⑥農薬散布の中止または薬剤変更。 代替品としてBT剤、セルコートアグリ、ジックニームを提案。 |
毎年、近隣住民から害虫の苦情がでるため、農薬散布は必須。BT剤を使用してもらう。 |
⑦学校の工事や農薬散布は事前告知を希望。 | OK。 工事に関しては教育委員会施設課と連携。 工程表や安全データシートを見せてもらう。 |
⑧無添加の手洗い石けんの持ち込み。 | OK。 |
⑨給食のアレルギー対応。 | 除去できない食材に関しては弁当持参。 |
⑩日光アレルギーのため通学帽、赤白帽に紫外線防止の特殊生地を取り付けしたい。屋外活動及びプールではラッシュガードを着用希望。 | OK。 |
アクセスポイントの電磁波
校長先生にアクセスポイントの近くと遠くの電磁波強度の違いを一緒に見ていただきました。
<使用した測定器>
ギガヘルツ・ソリューションズ HFW35C
測定範囲 高周波電磁波
測定周波数 2.4GHz~6GHz
<測定結果>
①廊下側からアクセスポイントに向けて測定(タブレットPC未使用)38μW/㎡
(0.0038μW/c㎡)
②廊下側からアクセスポイントに向けて測定(タブレットPC使用)199.8μW/㎡(0.01988μW/c㎡)
③アクセスポイントの前で測定 測定不能 199μW/㎡(0.0199μW/c㎡)以上
④アクセスポイントから一番遠い席で測定 11.2μW/㎡(0.00112μW/c㎡)
※オーストリア医師会のガイドラインに基づく安全基準値 1μW/㎡(0.0001μW/c㎡)以下
学校無線LANの体感
就学相談のため校長室に入ると10分位で頭がぼっーとしたりモヤモヤするなどの電磁波過敏症の症状が出始めました。校長室にはアクセスポイントはないため、隣の職員室のアクセスポイントに反応したと思われます。校内を見学しながら電磁波を測定。各教室のアクセスポイントに近づくと上記と同じ症状が現れ、測定後も症状が続きました。
入学後、PTAの会議で一番前の窓側にTVとアクセスポイントがあるのを確認。遠目ではオンオフがわかりません。私が座る場所から離れていたので、もし付いていたとしたら、どうなるか実験。もしかしたら、オフにしてるかもしれないという期待も半分。すると、会議から30分過ぎたあたりからジワジワと頭に違和感と心臓の圧迫感。アクセスポイントの電源は入ってるようです。電磁波シールドキャップを被り、しばらく様子をみることにしました。廊下を挟んで向かいが職員室。こちらは確実に無線LANが入っています。
会議が終わりに近づき、グループに分かれて立って話をしていたら、めまいで尻餅をついてしまいました。この感じはスマートメーターのめまいと同じでした。無線LANでめまいが起きる体質であると説明し、電源をオフにしてもらいました。すると、スッと身体全体の圧迫感が緩和。周りの人を驚かせてしまいましたが、結果として口で説明するより無線LANに反応する体質であることを知ってもらうことができました。
最後になりましたが、1つ1つのお願いに耳を傾け、どうすれば安心して学校生活を送ることができるか真摯に対応してくださった校長先生、教頭先生、担任の先生、栄養教諭の先生、PTAの役員の皆様に心から感謝申し上げます。
私の体験は以上です。皆様のお役にたてましたら幸いです。