山口みほさん(久留米大学非常勤講師、電磁波研会員)
米国の裁判所は8月13日、米国連邦通信委員会(FCC)が高周波電磁波(放送・通信用の電波)の曝露基準を従来よりも厳しくしないことを2019年に決めたときの手続が違法だったと判決しました。研究者らから多数寄せられた、電磁波による健康影響(癌以外)についてのコメントにFCCが回答しなかったことについて、裁判所は手続違反だと判断しました。この歴史的な判決は、デブラ・デイビス(Devra Davis)博士が設立したEnvironmental Health Trust(環境と健康を考える団体、EHT)などが起こした訴訟を裁判所が審議した結果、下されました。米国の高周波電磁波の基準は日本と同じです。また、多くの国が採用している国際指針値とも、ほぼ同じ値です。なので、この判決が与える影響は大きいと言えます。この判決について伝えるEHTの記事の一部などを、山口みほさんに翻訳、紹介していただきました。
裁判を起こしたEHTのデイビスさんは、会報第130号でご紹介したEMF Medical Conference 2021(電磁界医学学会2021)の教授陣のお一人です。今回の判決について、EMF Medical Conference 2021からもメールが私(山口)へ届きました。
このメールによると、FCCが1996年に決めた高周波電磁波のガイドラインを改定しないことを2019年に決定した際に、「ワイヤレス技術の健康への悪影響に関する癌以外の証拠を考慮しなかった」と裁判所は裁定しています。その上で裁判所は、FCCへ以下を要求しました。
- 携帯電話やその他のポータブル電子機器がFCCのガイドラインに準拠しているかどうかを判断するための試験手順を保持する(変更しない)という決定について、理由を示して説明すること。
- RF(ラジオ周波数放射線=高周波電磁波)放射の子どもへの影響、RF放射への長期曝露による健康への影響、無線機器の影響、およびFCCが前回ガイドラインを更新した後にできたその他の技術開発に対処すること。
- RF放射が環境に及ぼす影響への対応。
私は、原告らの記者会見もネットで見ましたが、その中でおよそ次のような説明がありました。
「電磁波の健康影響について数多くの意見がFCCに提出されてきたにもかかわらず、癌について以外、FCCは回答が出来ていないので、理由をきちんと付けた回答をするべしと裁定された。『癌については回答できている』という裁判所の解釈に関しては(業界側から『高周波電磁波に発癌性の問題がないことが裁判所に認められた』という主張も出たが、そうではなく)、裁判所は科学的判断をするものではなく、FCCが外部からの意見に対応したかどうかについて判断しただけで、FCCの電磁波は癌を起こさないという言い分について、その内容が正しいと判断したわけではない。国家毒性プログラム(National Toxicology Program)が動物実験により電磁波と癌の関連を示した事について、FCCは『動物実験の結果が人間に当てはまるものではない』などと反論したが、これについては、動物実験の結果も当然人間の問題と関連があり、その他にも科学的に電磁波と癌の関連は証明されており、我々は納得できない。このような点で不満は残るものの、癌の問題は別として、数千ページに及ぶ医師等の研究・意見に対してFCCが回答責任を果たしていないので、理由を明示して回答せよ、と裁判官が強い口調で命じたことは、非常に大きな成果である。」 |
EMF Medical Conference 2021でも医師等が「無線周波の害について科学的証拠をいくら挙げても、FCCの基準に準拠しているので問題ない、で一蹴されてしまう。この誤った基準を正さなければならない」と口々に訴えていましたが、今回の判決が、まともな議論を交わす為の大きなステップになることを望みます。記者会見では、この判決の効果は、アメリカだけでなく、世界にも波及していくだろうと述べられていました。日本でも総務省が、電磁波の害についての数多くの意見に対して、合理的理由を示すことなく紋切り型の回答で済ませていますが、私達もこれをはずみに、さらに力を合わせて、事態を改善させていきましょう。世論こそが巨悪に立ち向かう力、と医師・研究者も訴えています。
以下に、EHTによる記事の翻訳を掲載いたします。
訳にあたっては、会報編集長より法律用語など色々と教えて頂きました。誠に有難うございました。また、この場を借りて、EHT他、この裁判に尽力された方々に深く敬意と感謝の意を表します。
EHTが歴史的な判決を勝ち取り、連邦裁判所はFCCに対し、無線電波の害を示す科学的証拠を無視した理由を説明するよう命令
コロンビア特別区(ワシントンD.C.)巡回裁判区の米国控訴裁判所は、EHTなど原告らに有利な判決を下し、FCCが行政手続法に違反し、環境被害に関して寄せられた意見に応じなかったことを認める。
今日、コロンビア特別区巡回裁判区の米国控訴裁判所は、この歴史的、EHTら対FCCの裁判において、2019年12月にFCCが、1996年の無線放射線への人間曝露の安全限界を維持する(変更しない)とした決定は「恣意的で気まぐれ」であると裁定した(注1)。
裁判所は、FCCが「FCCの現在の安全基準を下回るレベルのRF(無線周波)放射線への曝露が、癌とは無関係の健康への悪影響を引き起こす可能性があるという記録された証拠」に対して応答しなかったと述べた。さらに、裁判所は(FCCが)「RF放射線による環境被害に関するコメントへ対応すべきところを全く対応しなかった」ことを明示した。規制値の変更を求めた数多くの団体、科学者、医師達をFCCが無視したこと、及び以下の問題に対応しなかったことを、裁判所は認めた。
- 長期間の無線曝露の影響
- 子どもへの影響
- 無線放射線によって傷害を受けた人々の証言
- 野生動物と環境への影響
- 発達途上の脳や生殖への影響
「我々は、裁判所が法の支配を支持し、また、この前例のない(先例となるような)裁判で、EHTおよび他の多くの専門家で権威を持つ人々によって提出された何千ページにも及ぶ科学的証拠に対して理にかなった検証記録をFCCは提供しなければならないと判断したことを喜ばしく思います。どんな機関も法律の下にあります。(司法は)アメリカ国民に対して勤めを果たしてくれました」と、EHT代表デブラ・デイビス博士は述べた。
この裁判:EHTら対FCCの主たる原告であるEHTの弁護士エドワード・B・マイヤーズ(Edward B. Myers)は、「行政手続法(APA)の要件に反して、FCCのガイドラインが無線周波放射線への曝露の有害な影響から十分に保護するという主張についてFCCが理にかなった説明を提供しなかったため、裁判所は審査の訴えを認めました」と述べた。
「コロンビア特別区(ワシントンD.C.)巡回裁判区の米国控訴裁判所が、携帯電話放射線の潜在的な健康被害に関する数十年にわたる研究をFCCが無視してきたと裁定し、また、FCCは携帯電話の新しい規制に関する決定を下す前に、これらの資料を十分に見直さなければならないと裁定したことを大変嬉しく思います」と、元米国小児科学会環境保健評議会議長で、現在はジョージワシントン大学医学健康科学部の小児科学及び環境・職業健康学と(ジョージワシントン大学の)ミルケン公衆衛生大学院の名誉教授であるジェローム・ポールソン(Jerome Paulson)博士は述べた。「FCCは1996年以降に蓄積された子どもたちの健康に対する無線周波放射線の影響に対処しなければならない、と裁判所が裁定した事は非常に重要です。」米国小児科学会はFCCへ資料を提出し、子どもと妊婦を保護するために、安全基準の見直しを求めた。
FCCの決定を、理由を明らかにした上での決定がなされていないとして覆す中で、裁判所は、FCCは食品医薬品局(FDA)のような機関に頼ってはいけない―FDAの結論が説明なしに提供された場合―と書いた。
「模倣は最高の追随かもしれないが(注2)、それはここで従うべき、事実認定を尊重する検討の基準に照らすと、APAが要求する理論的分析の低い基準でさえ満たしていない。一つの機関が一つの理論づけされていない分析を説明もなく採用することは、分析が無効であることを解消するものではなく、寧ろ悪化させるだけである。別の言い方をすれば、間違いを二つ足しても正しくはならない、ということである」と裁判所は書いた。
裁判所はさらに、電磁波病によって病気や損傷を負った人々による、およそ200の記録されたコメントに対して、FCCは回答を怠ったと示した。
裁判所はFCCに対して以下を命じた:「(i)携帯電話やその他のポータブル電子機器がFCCのガイドラインに準拠しているかどうかを判断するための試験手順を保持する(変えない)という決定に対する理由を示した説明を提供すること、(ii)子どもに対するRF放射線の影響、及び、RF放射線への長期曝露や無線機器が至る所にあることやFCCが最後にガイドラインを更新した後に起きた、その他の技術開発の健康への影響に対処すること、(iii)RF放射が環境に及ぼす影響に対処すること」。
この画期的な裁判は、主に、FCCが、携帯電話、セルタワー、ワイヤレス機器からのワイヤレス放射線に対するFCCの1996年の曝露制限(安全基準)を更新しないと決定したことに対して行われた。EHTの専門家達は長い間、FCCの時代遅れの基準は、特に5Gの時代にあって、アメリカ人をあらゆる場所で危険にさらすと主張してきた。
裁判所の歴史的判決に対して、EHTと原告達は、以下の声明を発表した:
デブラ・デイビス博士、MPH(公衆衛生学修士)、EHT会長、『ディスコネクト:携帯電話の放射線についての真実、業界はそれを隠すために何をしているのか、いかにして家族を守るか』の著者
「もし携帯電話が薬物であったなら、何年も前に禁止されていたでしょう。5Gは決して市場に出すことを許されなかったでしょう。発表された研究が増え続けていて―それらはFCCに無視されていますが―それらは明らかに、無線放射線への曝露は、特に子どもにとって、数多くの健康影響につながる可能性があることを示しています。研究は、ワイヤレス放射線が癌リスクを増加させ、記憶を損傷し、脳の発達を変え、生殖の健康に影響を与え、そしてその他にももっと沢山(影響を与えることを)示しています。さらに、携帯電話やセルタワーの放射線に私達が日常的に曝露させらされる量をFCCが測定する方法には致命的な欠陥があり、誤った安心感を与えています。」
「EHTは、過去数年間に数百ページもの科学的証拠をFCCに提出しました。害を示す科学的データ、生物学的影響から守るための安全基準を医療機関が作成する必要性、公共の暴露を減らす為に、有線ではなく無線通信を優先するインフラ政策の緊急性を文書化したものです。やるべきことは、まだ沢山ありますが、今日の判決は、ワイヤレス放射線被ばくによって引き起こされる害から人々を守る、重要な一歩です。残念ながら、通信業界は現在、何百万もの新しい5Gワイヤレスアンテナを住宅地に増やしています。そして何十億もの新しいワイヤレス機器が、毎日、ますます多くの害をもたらしています。」
「今日の勝利を祝う一方で、我々は前を向かなければなりません。我々はここからどこへ向かうのか? 我々は、この機関(FCC)がどのようにして法律を超えて(法律に従わずに)活動することが出来たのかについて議会の公聴会が必要です―これが二度と起こらないようにする為に。5Gを導入しても、新しいデバイスの販売における商業的な成功がもたらされるだけで、多くの恵まれないグループが基本的な技術にさえアクセスできないようなデジタル格差を埋めることにはなりません。EHTからバイデン大統領への手紙で詳述しているように、インフラの優先事項は無線ではなく有線のインターネット接続であるべきです。現在のレベルの放射線が人の健康と環境に損害を与える可能性があることを示す最新の科学によって裏付けられたところの、無線放射線の問題に関する連邦行動計画を米国は必要としています。」
セオドラ・スカラト(Theodora Scarato)MSW(医療ソーシャルワーカー)、EHTのエグゼクティブ ディレクター、当裁判の原告
「これは子どもたち、未来、そして環境にとっての勝利です。裁判所の決定は、世界中に警鐘を鳴らすでしょう。携帯電話やワイヤレスネットワークが数十年前に市場に出される前に、市場導入前安全性試験はありませんでした。裁判所が判決で指摘しているように、連邦保健環境機関からの沈黙は、『FCCの決定に対して、理由を示して説明したことにはならない』。人々や環境をしっかり保護する為に、科学的研究全体を科学的に検討する、という事が全くなされて来なかったことに、この裁定は光を当てています。どの連邦政府機関も、脳、生殖、樹木、野生動物への影響を示す科学を検討して来なかった―食品医薬品局も、疾病管理センターも、国立癌研究所も、環境保護庁も検討して来なかった。何十年もの間、これらの機関はどれも、公共のウェブサイト上で、無線放射線の健康への影響が大した事ないかのように(過少に)示してきました。通信業界から資金を提供された科学者がウェブページを書いて、連邦政府がそれをインターネットに載せました。人々が家の前にセルタワーが建てられるのを止めようとすると、選出された指導者達から、1996年の電気通信法のせいで、健康への影響の問題を考慮することはできないと言われます(注3)。このような事は止めさせなければなりません。」
「我が国がどうしてこのような状況に陥ったのかを調査し、二度と起こらないようにするための連邦行動計画が必要です。人間の健康と環境を保護するために、我々の連邦政府機関は、直ちに行動することが不可欠です。」
当裁判の原告であった組織:「Consumers for Safe Phones(安全な携帯電話を求める消費者)」のシンディ・フランクリン(Cindy Franklin)の声明
「FCCは今、FCCが25年前に作った曝露ガイドラインがインチキであることを認めなければなりません。マイクロ波無線周波放射暴露により生物学的被害が起きることは知られており、それから人々と環境を保護する義務を、私たちの連邦規制機関(複数)は負っています。この判決は、連邦規制機関が自分たちの役割を果たさなかったことを明らかにしています。ワイヤレス業界は、もはや、FCCのいわゆる『安全な』曝露ガイドラインの背後に隠れることができなくなりました。」
「The People’s Initiative Foundation(人々のイニシアチブ財団)」のリズ・バリス(Liz Barris)の声明
「やっとこの日が来ました! 非常に多くの人々が無線放射線の影響に苦しんでいます。そして非常に多くの人々は、彼らの症状、病気、癌、さらには死についても、それを引き起こしている放射線との関連に気づいてもいません―政府を信頼し、信じている為に! 携帯電話、Wi-Fi、スマートメーターからセルタワーまで、あらゆる種類のワイヤレス放射線によって人々が負傷していることを示す、提出された文書のいずれにも、FCCは対応を怠りました。人や環境に害を与えない、科学に裏打ちされた限界(安全基準)が必要です。そして、これまでのところ、唯一の安全な無線放射線は無線放射線を無くすことである(無線放射は無しにしないと危険である)、と科学は指し示しています。携帯電話やインターネット用の、有線イーサネット接続ポータルを至る所に備えることが、私たちの最善の策かもしれません。」
この裁判について
EHTら対FCCの裁判では、原告達は次の様に主張した:1996年の無線放射線制限(安全基準)について、健康と安全を十分に検討した上で更新(変更)する、という必要はないと決定した際、無線周波放射が人間、野生動物、環境に有害な影響を及ぼす事を示す何千ページもの研究と専門家の証言をFCCは無視したのである。
EHTは、Consumers for Safe Phones(安全な携帯電話のための消費者団体)、エリザベス・バリス、セオドラ・スカラト(医療ソーシャルワーカー)と共に控訴裁判所に訴訟を起こした。両者の代理人は弁護士エドワード・B・マイヤーズ。EHTの訴訟はその後、Children’s Health Defense(子どもの健康防衛)、ミシェル・ハーツ(Michelle Hertz)、ペトラ・ブロッケン(Petra Brokken)、デビッド・O・カーペンター博士(David O.Carpenter)、トリル・ジェルター博士(Toril Jelter)、ポール・ダート博士(Paul Dart)、アン・リー博士(Ann Lee)、バージニア・ファーバー(Virginia Farver)、ジェニファー・バラン(Jennifer Baran)、ポール・スタンリー教育学修士(Paul Stanley)によって起こされた別の訴訟と併合された。Children’s Health Defenseはスコット・マカラ(Scott McCullough)弁護士とロバート・ケネディー・ジュニア(Robert Kennedy, Jr.)弁護士が代理人を務めた。証拠説明書は共同で提出された。スコット・マカラは、EHT、Children’s Health Defenseら、原告たちの代理人として口頭弁論を行った。
口頭弁論は2021年1月25日、コロンビア特別区巡回裁判区の米国控訴裁判所の3人の裁判官カレン・ヘンダーソン(Karen Henderson)、パトリシア・ミレット(Patricia Millett)、ロバート・ウィルキンス(Robert Wilkins)の前で行われた。
EHTの弁護士エドワード・B・マイヤーズは以前、FCCに対して、天然資源防衛会議(NRDC)といくつかのネイティブアメリカン部族が起こした裁判―成功した―にも参加した。以前にあったこの裁判では、裁判所は国家環境政策法(NEPA)の関連性を支持した。NRDCは、EHTら対FCCの裁判に関しても法廷助言書(当事者以外が意見や情報を提出するもの)を提出した。
FCCの代理人は組織内弁護士のウィリアム・J・シェア(William J. Scher)、アシュリー・ストックス・ボワゼル(Ashley Stocks Boizelle)、ジェイコブ・M・ルイス(Jacob M. Lewis)、リチャード・カイザー・ウェルチ(Richard Kiser Welch)である。
(注1)判決の「恣意的 arbitrary」「気まぐれ capricious」という言葉は、合衆国法典(United States Code)の「セクション706-審査範囲」の以下の部分を踏まえたものと思われます:
The reviewing court shall –
(2) hold unlawful and set aside agency action, findings, and conclusions found to be
(A) arbitrary, capricious, an abuse of discretion, or otherwise not in accordance with law;
(山口訳)審査裁判所は-
(2)機関の行動、所見、結論が以下の様であると判明した場合はそれらが違法であるとし、また無効にする(破棄する)
(A)(機関の行動、所見、結論が)恣意的、気まぐれ、裁量権の乱用にあたる、或いは法律に則っていない;
Cornell Law School,Legal Information Instituteの“5 U.S.Code §706 – Scope of review”より抜粋。
(注2)裁判官は、“While imitation may be the highest form of flattery”と表現していますが、“Imitation is the highest form of flattery”「模倣は賛辞(お世辞/へつらい)の最高の形である」、或いは“Imitation is the sincerest form of flattery”(模倣は最も誠実な賛辞である/真似をするという事は、心から褒めているということだ)というような英語の慣用表現があります。
(注3)Physicians for Safe Technology(安全なテクノロジーを目指す医師団)のサイトに、この法律「Telecommunications Act of 1996(1996年電気通信法)」が紹介されています。同法のセクション704の中で「州、地方自治体、またはその機関は、無線周波数放射の環境影響に基づいて、個人用無線サービス設備の配置、建設、および変更を規制することが出来ない―そのような施設が、そのような放射に関するFCCの規制を遵守する限りにおいて(山口訳)」と規定されています。