米国で19歳以下の脳腫瘍・白血病が増加

論文[1]より

 米国で0~19歳の脳腫瘍と白血病の発症率が増加していることを、今年9月に発表された論文[1]が明らかにしました。携帯電話からの高周波電磁波が脳腫瘍のリスクを高め、また、低周波磁場が小児白血病のリスクを高める可能性を、これまで各国の疫学調査が示してきたことを踏まえると、環境中の電磁波の増加がこれらのがんの増加の原因になっている可能性が浮かび上がります。
 論文は、米国人口の約100%をカバーしてがん発症率などのデータを収集している、米国中枢脳腫瘍登録(CBTRUS)を分析しました。がんの発症率が増えているかどうかは、年間変化率(APC)が0%(年ごとの発生率に変化がないことを意味する)と統計的有意に異なるかどうかで評価しました。
 すべての脳腫瘍および中枢神経系腫瘍の発症率は、2004年から2013年にかけて有意に増加し(APC=2.1%.95%CI:1.6-2.7%)、その後2013年まではあまり変化はありませんでした。脳腫瘍のうち、携帯電話使用との関連が疑われている悪性神経膠腫については、2004年から2016年にかけて、有意に増加しました(APC=2.1%.95%CI:1.2-3.1%)。推定される0~19歳の悪性神経膠腫の有病率は10万人あたり1755人、死亡率は2.23人とのことです(2022年)。
 白血病の発症率は2004年から2018年にかけて、わずかですが有意に増加しました(APC=0.5%.95%CI:0.1-0.8%)。
 この論文は、小児~青年期の脳腫瘍・中枢神経系腫瘍の危険因子について、一般論的な解説も述べています。それによると、この年代におけるがんの死亡の最大原因が脳腫瘍・中枢神経系腫瘍であるにもかかわらず、その原因はほとんど知られていないとのことです。確立された危険因子としては、単一遺伝子の遺伝性疾患、遺伝的症候群、および電離放射線があります。携帯電話の電波や低周波磁場などの非電離放射線(電磁波)については、過去数十年の間に子どもや若者の間で使用頻度が非常に高くなっているため注目されているとしつつ、電磁波が脳腫瘍・中枢神経系腫瘍のリスクを増加させる決定的な証拠はないと、この論文では述べています。

日本、スウェーデンでも増加
 日本においても、若者の脳腫瘍が増えていることを、東京女子医科大学の山口直人教授らのグループが明らかにしました(会報第122号参照)。また、Lennart Hardell(レナート・ハーデル)らも、スウェーデンでの脳腫瘍の発症率を分析し、全世代の男女とも増加が見られましたが、診断時20~39歳の若者で最大の増加が見られました(同上)。【網代太郎】

[1]CBTRUS Statistical Report: Pediatric Brain Tumor Foundation Childhood and Adolescent Primary Brain and Other Central Nervous System Tumors Diagnosed in the United States in 2014-2018

 

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