国際がん研究機関(IARC)が高周波電磁波の発がん可能性を評価

2011年5月31日に発表
 WHO(世界保健機関)の研究機関であるIARC(国際がん研究機関)は、2011年5月31日にフランス・リヨンで報道会見を行い、高周波(無線周波数)電磁波(場)を2B(ヒトへの発がんリスクの可能性がある)に評価すると発表した。IARCの評価はそのままWHOの決定となる。

携帯ヘビーユーザーのリスク
 IARCが高周波電磁波を2Bとした根拠として、携帯電話のヘビーユーザーにおいて、脳腫瘍の一種である神経膠腫(しんけいこうしゅ)のリスクが40%上昇する、という研究報告をあげている。ヘビーユーザーとは、携帯電話を10年間以上使用し、さらに1日の平均で30分以上携帯電話を使用する人である。
 IARCは、14ヶ国31名の科学者や専門家で構成されるワーキンググループ(評価部会)で、5月24日から31日にわたり、高周波の健康リスク評価を討議してきた。対象は、「レーダーとマイクロ波」、「ラジオ放送、テレビ放送、無線通信」、「携帯電話」でり、高周波の全般にわたっていた。

2Bの決め手は何か
 携帯電話電磁波リスクに対して、これまでのWHOの見解は、消極的な傾向が見られた。2010年5月のインターフォン研究最終報告でも、携帯電話使用とがんの関係を示す明確な証拠はないというのが基調だった。それが、2B(発がん可能性あり)となったのは、2010年秋に、日本の東京女子医大グループらによる、1日20分以上携帯使うと聴神経腫瘍リスク増大するとする研究や、2011年2月に、携帯電話使用が脳細胞活動に影響を与えるとする、米国の研究が相次いで発表されたことがある。そしてなによりも、携帯電話に対する世界的な不安がもたらしたといえよう。

各界の反応と日本のメディア反応
 IARC長官のクリストファー・ワイルドは、さらなる調査研究が明らかになるまでハンズフリー機器やメール機能を使って脳への影響を軽減することが大事と指摘した。それに較べて、日本の総務省は今後の調査結果を待ちたいと、どこまでも業界寄りの構えを崩さない。米国の業界団体CTIAは、今回のIARC評帯電話ががんを引き起こすといったわけではないとの見解を述べ、どこまでも真面目でない。日本のメディアが珍しく反応したのは、東電を中心とする“電磁波ムラ”のメディア規制・監視が、福島原発事故でほころんだためと言えよう。これまでの報道が異常であったと言える。【大久保貞利】

ヒトへの発がん評価分類 (IARC)
カテゴリー 対象物質・因子
発がん性あり アスベスト、ベンゼン、ダイオキシン、塩ビ、C型肝炎ウィルス、ラドン、喫煙など102種
2A おそらく発がん性あり
(probable)
PCB,ベンゾピレン、紫外線、ホルムアルデヒド、ディーゼルエンジン排ガスなど68種
2B 発がん性の可能性あり
(possible)
クロロフォルム、鉛、EMF(極低周波電磁場)、DTT,PBB,4塩化炭素など266 種
分類できない 炭素、水銀、キシレン、パラフィンなど516種
非発がんの可能性 カプロラクタム(ナイロン原料)

 

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