札幌市でLEDトラブル 2550本取り替え

一部職員が体調不良を訴える
 北海道札幌市市役所は、2010年3月に、執務室や廊下の照明をLED(発光ダイオード)に替えました。その数は約9000本にもなりました。ところが、取り替えた直後から一部職員から、目が疲れるとか気分がすぐれないといった訴えが出てきました。
 そこで札幌市当局が職員対象にアンケートをとったところ、7.4%の人が業務に支障ありと答えました。
 この事態を重視した市当局は、今年8月にLED照明2550本を取り替えました。全部をを取り替えなかったのは、ちらつきが特に激しいものを重点的に選んだためです。

LED照明はバラ色ではない
 LED照明は、低電力長寿命で発熱性も低いとして、高価格なことを除けば、“バラ色”の未来を築く照明であるかのように宣伝されています。しかし、LED照明は使用中に電源回路から発する磁力の影響で、電磁波ノイズが発生する指摘が以前からありました。例えば、街路灯をLEDに替えたら、近くの家のテレビが受信障害を起こしたという苦情はかなりあります。
 また、発光素子自体は比較的に長寿命でも、素子をとりまく樹脂材料が強い光や半導体の熱で劣化し、それほど長寿命でなく終わることもあります。
 人間が使う照明としては、単なる明るさだけでなく、人間の目にやさしい光であることが重要です。人によってはLED照明は目が疲れやすいという人もいます。LED照明は発展途上といえるでしょう。
 この事件は、新しいものが必ずしも良いとはいえないことを、示したのではないでしょうか。【大久保貞利】

参照:2010年8月26日日本経済新聞「法の“空白地帯”でLEDトラブル、札幌市」

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