新電力契約で設置のスメートメーター 通信部分をはずさせる

 新電力(東京ガス)と契約したために電力量計をスマートメーターに交換された福田緑さん(東京都清瀬市)が、スマートメーターをアナログメーターへ交換するよう、東京電力と東京ガスに要求しました。残念ながらアナログメーターへの交換は実現できませんでしたが、通信を行う部品をスマートメーターからはずさせることができました。
 福田さんは、今年4月からの電力小売全面自由化を見据えて、早々と1月に東京ガスと契約し、2月にスマートメーターに交換されました。スマートメーターは電磁波が出るので健康によくないという漠然とした知識はありましたが、新電力との契約には交換が必要だと聞いていたので、仕方なく交換させてしまいました。
 しかし、電磁波の問題が気になっていたので2月の電磁波問題市民研究会主催のスマートメーター集会に参加、大阪府の東麻衣子さんがスマートメーターに交換されて電磁波過敏症が悪化したとの話を聞き、福田さんも何とかしてアナログメーターに再交換してもらいたいと考えるようになりました。時々帰省してくる娘が、スマートメーターへ交換した後、「何だか疲れがとれない」と言うようになりました。以前、高圧線の近くに下宿していたころから次第に電磁波に敏感になった様子だったので、やはり娘には症状が出たかと愕然としました。孫たちもよく遊びにくることから、このままにしておいてはいけないと福田さんは考えるようになりました。

東電「新電力に言え」
 意を決して4月21日に東電へ電話。東電は、けんもほろろな態度で「どうしてもと言うのなら、今は東京ガスのお客さんなのだから東京ガスに言ってください」とのことでした。
 直後に東京ガスに電話をしたところ、腰は低いのですが「東京電力の電線を使わせてもらっている立場で約束まではできない。とりあえず伝えるので東電からの連絡を待ってほしい」と言われました。福田さんは「娘の体調の変化がおきているので、必ず交換してほしいと強く伝えてください」と念を押しました。
 4月28日に東京ガスから「詳しく様子を聞きたい」と電話がありました。福田さんの訴えを聞くと「わかりました。東京電力に伝えます。仮にアナログメーターに取り替えてもまた戻さなければならないかもしれないのですが、東電から電話があるかと思うのでよろしくお願いします」と言われました。福田さんは、これなら大丈夫かな、とホッとしました。
 6月17日ごろ、東電の下請け会社から電話が入り「工事に行くのでご都合を聞きたい」とのこと。「アナログメーターに替えてくれるんですね?」と確認したら「もうアナログメーターは作っていないんですよ」と言うので、「作っていると聞きましたが?」と尋ねましたが、相手は無言のまま。結局、ここでもめて時間を費やすよりは早く電磁波を改善してほしかったので、福田さんは「わかりました」と答えました。
 6月28日に工事が行われました。とは言っても違う機械を持ってくるわけでもなく、メーターの下半分の両側にあるねじをはずしてカバーを開け、中の通信部分(小さなデジカメぐらいの大きさ)をはずして、またねじを締めるというだけで、作業はあっけなく終わったとのことです。

通信部分をはずした場合の問題点
 最近、スマートメーターを拒否したら、「スマートメーターに交換したうえで、通信部をはずす」という提案を東京電力などからされたというご報告が、当会に複数寄せられています。通信部をはずせば電磁波の問題はなくなります。ただし、通信部は簡単にはずせるので、逆に言えば、簡単に取り付けることもできます。住民が知らない間に通信を再開されるのではないかという不安が残ります。許可なく通信開始をしない旨を一筆書くよう求めても電力会社から拒否されるようです。また、東電は将来的に、通信部と計量部の一体型のスマートメーターにすることも表明しており、そうなった場合、通信部をはずすことはできなくなるものと考えられます。なので、やはりアナログメーターへ交換させるべきですが、すでにスマートメーターが設置されている場合など、とりあえず電磁波を避けるために通信部をはずさせることも次善の策です。
 新築住宅を買ったらすでにスマートメーターがついているケースがほとんどです。また、福田さんによると、リフォームの際に何の連絡もなくスマートメーターに交換されることもあるそうです。私たちがきちんとスマートメーターについての知識を持って、最初からアナログメーターへの交換を求めることができるように、周りの人々にも知らせていきたいものです。【網代太郎】

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